ひと夏のキセキ
「もー、怒んないでよ。遥輝って意外とヤキモチ焼きなんだね?」


「…うるせぇな。悪い?」


「顔赤いよ。照れてるの?」


さっきの仕返しだ。


遥輝が弱みを見せるタイミングなんて滅多にないんだもん。


これはチャンスだ。


「お前……ムカつく…」


「ちょっとのことで嫉妬しちゃうくらいなのに?」


遥輝が劣勢になることこの貴重な時間が楽しい。


不服そうな遥輝はあまり見れないからここぞとばかりにイジりたい。


「俺、言わなかったっけ」


遥輝のオーラが変わった。


反撃される。


そう思った時にはもう視界が反転していて、真っ白い天井が広がっている。


そして、押し倒されたことに気づいた時にはもう唇が重なりあっていて、遥輝の指がいやらしく首筋を這う。


「ちょっ…と…」


「主導権握られんの嫌いって言わなかった?」


「ごめんごめん…っ」


耳を執拗に触られてゾワゾワする。
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