ひと夏のキセキ
「このまま続きしてもいーんだけど。どーする?」 


「だ、だめだよっ」 


「なんで?」


「だって病院だし…まだ夕方だし…」


「なんで病院や夕方だったらダメなの?」


「声とか音とか…ねっ?分かってよっ」


「へぇ声とか音?何想像してんの?」


「えっ!?」


「言えよ。言えば離してやる」


「えっ…と…だからそれはその…」


言えるわけないじゃん…。


恥ずかしすぎる。


調子に乗って遥輝をからかうんじゃなかった。


遥輝の意地悪な笑みがゼロ距離にある。


「ホント可愛いなお前。いじり甲斐がある」


チュっと今日一番優しいキスが降ってきた。


結局遥輝のペースだ。


でもそれが好き。


遥輝のこの意地悪だけど愛があって優しい感じが好きだよ。


「その表情、誰よりも可愛いから俺以外には絶対見せるなよ」


「…っ!!」


真っ正面から言われ、ドカンっと心臓を突かれたような衝撃を受ける。
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