ひと夏のキセキ
行きたいのは山々だけど、許可が降りるかなぁ…。


夏祭りは人混みだし…。


昔から人酔いが激しいからなぁ…。


「さすがに祭りは厳しいか」


残念そうに肩を落とす遥輝を見るとギュッと胸が痛む。


せっかく誘ってくれたんだもん、無理してでも行きたい。


「神田先生に相談してみるね!」


神田先生というワードに不快感を露わにする遥輝。


「あ…ごめん。担当医は担当医だから…さ」


屋上までの階段で話したあの日以来、特に何も言われなかったから忘れてしまっていた。


遥輝は神田先生が担当医をしてることをよく思ってないんだった…。


「いや、ごめん。嫌な顔したつもりはなかった」


「めちゃくちゃ顔に出てたよ」


「普段のお前じゃん」


「もー、すぐイジるのやめてよっ」


心配して損しちゃった。


遥輝になりに悪い空気にならないようにしてくれてるんだろうけど。
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