ひと夏のキセキ
小さい頃はよく親に“お祭り行きたい!”って言ってたけど、過保護な両親は許可してくれなくて、結局行けたことがなかった。


花火だって、家から遠くに見えるものを見ていただけ。


「楽しみだなぁ〜。許可降りなくてもこっそり行きたいくらい」


「それは絶対無理。許可下りなかったらここで花火見よう。最上階の窓からギリギリ見えると思うから」


「え〜…。お祭り行きたい」


「許可が降りたらな。お前の体調が最優先なんだから」


「絶対?」


「当たり前だろ」


厳しいなぁ…。


まるでうちの両親みたいだ。


でも、それくらい大切に思ってくれてるってことだよね。


「お祭り行けたらいいなぁ…」


もし神様がいるのなら願わずにはいられない。


私に残り2か月の幸せをください。


これまでたくさん苦しんできたのだから、最後の2か月くらいは人並みの幸せがほしい。


どうか私に遥輝との時間をください…。
< 148 / 353 >

この作品をシェア

pagetop