ひと夏のキセキ
「……なんでもないです…」


瞳から冷たさを感じ、一度振り絞った勇気が散ってしまった。


悪気はないんだろうけど、目が鋭いから怖い…。


葵早く戻ってきてよ…。


「…茜は俺の妹。生きてたら高1」


「え…」


まるで心を読んでいたような発言。


それに…“生きてたら”って…。


じゃあ今は…。


「お前…なんとなく雰囲気が茜に似てんだよ」


そうなんだ…。


だからビックリした顔で近づきてきたんだ…。


妙に合点がいった。


「…名前聞いていい?」


「桜木絢…です。あなたは…」


「神田遥輝」


遥輝…。


一昨日葵たちが話していた人だ…。


この人が遥輝さんかぁ…。


綺麗な人だな…。
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