ひと夏のキセキ
今の流れでサラッと許可貰えると思ったのになぁ。


そんなに甘くないか…。


「絢ちゃん昔から人混み苦手でしょ。夏祭りって尋常じゃないくらいの人混みだよ?」


「分かってます。でも行きたいんです」


「暑い上に騒がしいし、熱中症のリスクも高い。今までの傾向からして、ほぼ間違いなく体調崩すと思う」


「それでもいいんです」


少しくらい体調を崩したって構わない。


遥輝と一緒に夏祭りに行きたい。


「うーん…。行かせてあげたいのは山々だけどねー…」


「先生お願い。私には来年の夏はないんです。今年が最後の夏なんです。お願いします」


「今無理しなかったら来年の夏が来るかもしれない」


「嫌だ。来ないかもしれないもん。死ぬときに後悔したくない」


やりたいことリストを全部叶えたい。


遥輝が約束してくれたから。


一緒に約束を守りたい。


「ごめん絢ちゃん。さすがに祭りは危険すぎる。許可はしてあげられない」
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