ひと夏のキセキ
「葵、どれくらいで帰ってくるか分かる?」


「たぶんもうすぐだと思います」


「ふーん…。てか敬語じゃなくていい。敬語で喋られるとムズムズする」


「じゃあ…タメ口で…」 


見た目は怖いけど、本当は怖い人ではないんだろう。


彼のことが気になる。


もっと知りたい。


「年齢聞いていい…?」


なんとなく年上っぽいから、タメ口で喋ると本当にいいのかなとドキドキする。
 
   
「高3。お前は?」


「1個しか違わないんだ。私高2なの」


もう少し離れてるかと思った。


高3にしては大人びているというか…クールというか…。


「遠回しに老けてるって言ってんだろ」


「違うよっ」


ギッと睨まれたから慌てて否定すると、遥輝はクシャッと笑った。
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