ひと夏のキセキ
「許可は?アイツのところ行ったってことは祭りの話しに行ったんだろ?」


「…許可は…えっと、貰えたよ」


「……何回言わせんだ。俺はお前の嘘は全部分かる」 


嘘を突き通してでも一緒に行きたい。


好きな人と一緒にお祭りに行ける最初で最後のチャンスなんだ。


絶対に諦めたくない。


「嘘じゃないもん。許可貰えたもん」


「ホントに?」 


「ホントに」


「その割に全然目合わないけど?」 


……図星だ。


嘘だと見透かされるのが嫌で目を合わせられない。


「そ、そんなのたまたまだよ。ねっ?」


一瞬だけ目を合わせてすぐに反らす。


「…嘘つくの下手すぎだろ」


「嘘じゃないってば」


「ったく。わかったわかった。ならどういう条件付きで許可貰えたんだよ。さすがに無条件なわけないだろ」


条件…?


そんなのないのに、どう答えたらいいんだろう。
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