ひと夏のキセキ
「えっとえっと……」


「ほら。すぐに答えらんないのは嘘だからだろ。もう諦めろ」


「……やだ」


絶対に行きたい。


諦められない。


「遥輝は私と約束してくれたじゃん。私のやりたいことを叶えてくれるって。それも嘘?」


「約束したけど、それとこれは話が違うだろ。彼女の体調が悪いのに無理して祭りに行く男がどこにいんだよ」
  

「だから体調は悪くないってば」


遥輝が行くって言ってくれるまで諦めない。 


きっと今諦めたら一生後悔する。


先の短い人生、悔いのないように生きたい。


「医者が許可出さなかったのは、それ相応のリスクがあるからだろ。俺はお前を心配して断ってんだ」


「お願い遥輝。私なら本当に大丈夫だから」 


「無理なものは無理。俺がりんご飴買ってきてやるから、それで我慢しろ」


「いや!ヨーヨー釣りも金魚すくいもしたいもん」


「諦めろ」


冷たい…。
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