ひと夏のキセキ
「絢。こっち向いて」


優しく髪を撫でられる。


でも、目を合わせるのが怖い。


どんな顔すればいいの?


わかんないよ。


遥輝は今どこまで察して、何を思ってるの?


わからない。


「絢。こっち向けって」


「やだ。今日はもう帰って」


「無理。今帰ったら次面会拒否されそうだから」


……なんで分かるの。


落ち着くまで面会拒否しようと思ったのに。


「なぁ…。俺はどうしたらいい?どうしたら絢が楽になる?」


「……」


「俺の心配なんかせず、自分の思うがままに発言すればいいし行動すればいい。絢が何をしようが受け入れられるぐらい、俺は絢が好き」


……っ。


ズルい。


今そんなこと言わないでよ…。


甘えたくなっちゃうじゃん…。
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