ひと夏のキセキ
「ごめん、やっぱり全部忘れて。夏祭りも諦めるよ。ごめんね。帰ってほしい」


沈黙に耐えきれず早口で捲し立てる。


「分かった。でもその前に俺が考えてること話していい?」


「……うん」


心臓が嫌な音で暴れている。


聞きたくないと全身が脈打っている。


でも聞かなきゃ分かんない。


ちゃんと聞かなきゃ。


「さっきの発言聞いて、余命宣告されてるんだろうなって思った。余命が1年もないんだろうなって」


ドキッと心臓が大きく跳ねる。


「“大切な人を失うのが怖い”って俺が言ったばっかりに、絢は話せないんだろうなとも思った」


…すごい。


やっぱり遥輝はすごい。


「エスパーだね」


なんでも見透かしちゃうんだから…。 


困っちゃうよ…。
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