ひと夏のキセキ
「……だろ?俺、人の心読むの得意だから」


今の間。


絶対ショック受けたよね。


だって、確実に遥輝より先に私が死ぬんだもん。


また、遥輝に死別という苦しみを与えてしまう。


「ホントは、もっと早く伝えるべきだった。遥輝が私を好きになるよりも前に…。

でも、できなかった…。どうしようもないくらい貼るのことが好きで好きで、ずっと側にいたかったから…っ。

あと半年も生きれないなんて言ったら、離れていっちゃうと思ったから…。

遥輝と付き合うこと、ホントは迷ってた。傷つけることしかできない私が付き合っていいのかって。3度目の死別なんてあまりにも酷だから…。

自分の気持ちは殺さなきゃ、遥輝のために我慢しなきゃって思ってた。 

でも…、無理だった…っ。遥輝のことが好きだって気持ちが勝っちゃって、結局余命のことは言えないまま付き合うことになって…。

あとあと傷つけてしまうって分かってたのに。本当にごめんなさい」


一度話しだしたら止められなくて、たくさんの言葉とともに涙も溢れてしまって。


何言ってるか自分でも分からなくて。


「ごめん、ごめんね、遥輝」


とにかく謝ることしかできなかった。
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