ひと夏のキセキ
ぽんぽんっ…


だからこそ、いつもと変わらない温もりに涙が止まらなくなる。


「話してくれてありがとな。一人で抱え込ませてごめん。もう大丈夫だから」


そっと抱き寄せられ、遥輝の胸の中で嗚咽する。


「ごめんな。俺が余計なこと言ったからツライ思いしてたんだよな。ホントにごめん」


優しすぎるよ…っ。


なんでそんなに優しいの…?


私はもうすぐ死ぬのに。


死んだら苦しい思いをするのは遥輝なのに。


「なんで私を拒絶しないの…」


「するわけねぇだろ。お前が俺に思ってるその何倍も、俺はお前が好きなんだから。余命なんて知ったこっちゃねぇよ」


「でも、私もうすぐ死ぬんだよ」


「だから何?」


「一緒にいればいるほど、私が死んだときにツライでしょ…?だから最初から私が遥輝を拒むべきだったの…」


無理やり涙を止め、遥輝から離れようとする。


でも遥輝は離してくれなかった。
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