ひと夏のキセキ
「えぇぇぇ!?遥輝が笑った!?」


とんでもない声量が突然飛び込んで来て心臓が跳ね上がる。


「ビックリしたぁ…」


ジュースを両手に持って帰ってきた葵だ。


葵はあんぐり口を開けて遥輝に近づき、私と彼の顔を交互に見ている。


そして、信じられない…と呟きベッドに寝転ぶ。


「遥輝が女の子相手に笑いかけてる…。これは夢か?あたし、まだ寝ぼけてんのか?」


ぺチペチペチと自分の頬を叩く葵。


遥輝はそんな葵を鋭く睨みつけベシッと頭を叩いた。


「絢は知らないだろうけど、コイツ、マジで無愛想だかんね?あたしらの前で笑ったところなんて1回も見たことない。ましてや女の子相手なんて……」


「うるせぇんだよ。お前が見舞いに来いっつったから来てやったんだろうが」


私…レアなものを見たのかな…?


遥輝の笑顔…。


クールな雰囲気が笑ったときにふわっと一変した。


頭の中で何度も繰り返し笑顔が流れる。


なんだか胸がポカポカする…。
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