ひと夏のキセキ
困っていると、すかさず遥輝が海の腕を叩いた。


「図々しいんだよ。つか、なんでお前らまで来んだよ。邪魔すんな」


グイッと遥輝に肩を抱き寄せられ、よろける形でぶつかってしまった。


「独占欲強〜。絢よろけちゃってんじゃん」


葵に茶化されても表情ひとつ変えない遥輝。


私の前ではいろんな表情を見せてくれるけど、皆の前だとずっとクールだ。


私しか知らない顔があることが嬉しい。


「俺ら何か買ってくるけど、食べたいものある?」


「俺焼きそば」


「俺はかき氷で。シロップはブルーハワイ」


「あたしはたこ焼き。真生ゴチでぇす」


「あ?お前らには聞いてねぇ。自分で買え。俺は絢ちゃんに聞いてんの」


「あ、やっぱりメロンがいい」


「話聞けよ。おめぇには聞いてねぇっつの」


いつもの掛け合いに頬が緩む。


この騒がしい感じ、好きだなぁ。


ジッと傍観している遥輝も含めて、青涼って感じがして落ち着く。
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