ひと夏のキセキ
「で?絢ちゃん何食べたい?」


「えっと…そうだなぁ…。私もかき氷食べたいな。いちご味!」


お祭りといえばかき氷だよね!


外に出ていると暑くて汗ばんできちゃったし、冷たいものが食べたい。


「おっけー。遥輝は?」


「俺はいい」


遥輝は何も食べないんだ…。


4人が買い出しに行ってくれ、駐車場に静かさが戻る。


「ほら、暑いから車乗っとけ」


もう少し外でお祭りの空気を味わいたかったのに、半ば強引に車に押し込められてしまった。


「遥輝は何も食べないの?」


「だってお前全部食いきれねぇじゃん。俺は余った分を食べるから大丈夫」


そういえば遥輝はいつもそうだ。


全部一口目は私にくれるし、自分の分は頼まないで私が食べ残したものを食べている。


その優しさは嬉しいけど、申し訳なくなっちゃうな…。


「なんかごめんね…」


「なんで謝んの。俺がしたくてしてることだし、気にすんなよ」
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