ひと夏のキセキ
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真生が買ってきてくれたかき氷や焼きそばを食べたり、皆でワイワイ話していると、あっという間に日は沈み花火が始まる時間となった。
駐車場というお祭り感のない場所にも関わらず、青涼の皆は嫌な顔せず付き合ってくれた。
いっぱい写真も撮ったし、動画も撮った。
本当に本当に楽しい時間で、皆に出会えてよかったと心から思えるんだ。
「じゃああたしらはここで退散するから。あとは二人で楽しんで!」
笑顔で葵たちと別れ、遥輝とふたりでりんご飴の屋台に並ぶ。
思っていたより人は少ないおかげで、人酔いしなくて済みそうだ。
ただ、熱気がすごくてすごく暑い。
「大丈夫か?」
遥輝のひんやりした手が頬に触れる。
「大丈夫だよ、ありがとう。手冷たくて気持ちいい」
「ならよかった。無理だけは絶対すんなよ」
「…うん」
遥輝の手は不思議だ。
温もりを求めてる時は温かくて、涼しさを求めてるときは冷たい。