ひと夏のキセキ
その手が私の手に絡まった。


すごく自然で、当たり前のように、繋がれた手と手。


そのナチュラルな動作にドクンっと胸が跳ね上がる。


「今さら手繋いだだけで緊張?」


口角を上げてからかってくる遥輝。


なんでバレるかなぁ。


平静を装ってるつもりなのに。


遥輝には何もかもお見通しだ…。


「…さっきも言ったでしょ…?遥輝がカッコよすぎるから緊張するんだよ…」


恥ずかしくて俯きながらボソボソ伝えると、いたずらっ子な笑い声が降ってきた。


「お前、まじで可愛い。こっち向いて」


「やだ」


「こっち向けって」


「やだっ」


「ふーん…。じゃ、いいや」


突然冷めたような口調で言われ、思わず顔を上げる。


「困ってる顔も可愛い。反則」


「っ!?」


まんまと騙された…。


「ひどいっ。冷められちゃったかと思っちゃったじゃんっ。遥輝のばかっ」


「俺がそんなことで冷めるわけねーじゃん。バーカ」
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