ひと夏のキセキ
とは言いつつも、屋台に並んでいるフルーツ飴に目を奪われる。


どれも美味しそう…。


りんご飴、いちご飴、ぶどう飴、みかん飴。


当初はりんご飴を食べるつもりだったけど、他の飴も美味しそうで迷う。


「遥輝はどれ食べたい?」


「…俺はいらない。だから絢が本当に食べたいやつを選べばいい」


「そっかぁ…」


遥輝は飴が嫌いなのかな。


一緒に食べたかったけど、仕方ないよね。


「りんご飴といちご飴で迷うなぁ…」


「なら2つとも買おうぜ」


遥輝はサラっとそう言って、返事をする暇もない速さでお会計をしてしまった。


「2つもいいの?ありがとう!」


念願の念願のりんご飴。


早く食べたいなぁ。


絶対美味しいよね!


「車戻ってから食おう。ここにいると暑いだろ」


もう少し空気を味わいたいのに、遥輝はそそくさと車に戻ろうと歩き始める。


「待ってよー…。もう少し屋台回ろう??」


食べ歩きがお祭りの醍醐味だ。


そんなにあっさり車に戻ってたら楽しくない。
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