ひと夏のキセキ
「…体調は?」


「全然大丈夫!!」


嘘。


ホントはちょっとクラクラするし、呼吸も浅い。


でも今だけは我慢してでも遥輝との時間を大切にしたい。


「…ほんとかよ。嘘くせぇな」


「ホントだよ。信じて」


お祭りを楽しみたい。


花火だってもっと良い位置で見たい。


最後の思い出作りだから。


ちょっとくらいいいよね? 


「じゃー、射的でもする?」


「うん!!」


それから遥輝にいろいろな屋台に連れて行ってもらった。


射的、ヨーヨー釣り、金魚すくい。


わたあめ、かき氷、たこせん。


どれもこれも本当に楽しくて、キラキラ輝く大切な想い出だ。


そうして楽しんでいる間に花火は終盤に向かい盛り上がってきた。


序盤よりもたくさんの花火が同時に打ち上がっている。
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