ひと夏のキセキ
喧嘩
「―や!絢!」
「ん……」
重たい瞼を上げると、見慣れた天井とお母さんお父さんの姿が目に入った。
「遥…輝…は…?」
顔を動かして周囲を確認しても遥輝の姿はない。
「遥輝くんは明日の朝来るって」
「そっ…か…」
私、遥輝の目の前で倒れちゃったんだよね…。
心配も迷惑もかけちゃったな…。
「体調は?どう?」
「ちょっと目眩と動悸がする…」
「そう…。無理しちゃダメってあれだけ言ったのに…」
夏祭りが楽しくって、つい無理しちゃった。
“ちょっとくらいいいや”と思っていたのが間違いだった。
でも、後悔はしてない。
「遥輝くんにも強く言ってあったんだけどね。無理はさせないでって」