ひと夏のキセキ
「副総長って…?」


問いかけると葵は気まずそうに苦笑いを浮かべた。


「青涼(せいりょう)ってゆー族の副総長なんだ、あたし」


族って暴走族…だよね。


葵が…?


もしかして遥輝や海たちも…?


「遥輝が総長で、海たち3人が幹部。びっくりした?」


そうなんだ…。


たしかに派手な人たちだし、違和感はない。


「絢はそういう世界とは無縁そうだから言うのに気が引けてたんだよ」


気まずいと思っているのか、葵は目を合わせてくれない。


「たしかに私とは無縁だけど、だからと言って変な目で見たりしないよ?人にはそれぞれ事情や生き方があるんだから。葵は葵だよ」


ベッドから身を乗り出して葵に向き合うと、葵は驚いたように目を見開いた。


そして、ふっと笑って桃の天然水を投げてきた。


「うわっ…と」


「ナイスキャッチ」
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