ひと夏のキセキ
残された病室の空気は重く苦しい。


「ごめんなさい…。ホントにごめんなさい」


私のせいで。


私のせいで遥輝が。


昨日、私が意識を失っていた間、遥輝は何を思ってたんだろう。


どれだけ自分を責めただろう。


「絢。絢はさ…俺と一緒にいたら無茶するだろ」


「…そんなことないよ」


遥輝はドアの付近に立ったまま動かない。


いつもなら近くの椅子に座って目を合わせて話してくれるのに。


今日は目も合わない。


嫌な予感がする。


胸がザワザワしている。


「俺たち、一緒にいないほうがいいんじゃねーかな」


…っ。


「なに、言ってるの。そんなわけないじゃん」


なんで…?


なんでそんなこと言うの…?


遥輝は私の生きがいなんだよ…?


「もしかして…お母さんに何か言われた?」
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