ひと夏のキセキ
そうじゃないとおかしいよ。


遥輝がそんなこと言うはずない。


「まぁ。正論言われただけ。俺と出会わなければお前は無茶しなかった。きっともっと長く生きれる。俺といると寿命が縮まるんだよ」


「遥輝まで、なんでそんなこと言うの…?」


どうして皆して遥輝を私から遠ざけようとするの?


私は、遥輝がいない人生なんていらない。


そんなの望んでない。


「お母さんの話なんて無視してよ!私は遥輝がいないとダメなんだよ…?」


「でも、お前は俺といると無茶すんじゃん」


「もうしないから!もう無茶はしないって約束するから。お願い、遥輝」


私から離れていかないで。


色褪せた人生に色を戻してくれたのは遥輝だった。


他の誰でもない遥輝。


お母さんでもお父さんでもない。


遥輝と出会えたから私は生きる意味を見いだせた。


死ぬまでの時間潰しでしかなかった偏屈な毎日が、初めて輝いた。


こんな私に、人並みの幸せを与えてくれた。
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