ひと夏のキセキ
「俺は絢のことを愛してる。だから、守りたい。長く生きてほしい」


「私だって遥輝のこと愛してるよ!だから一緒にいたいんだよ!ずっとずっと一緒にいたい…っ。もう会わないなんて言わないで…っっ」


遥輝がいなくなったら、私どうしたらいいの…?


何のために生きていけばいいの…?


遥輝は私の光だった。


光が失われたら、そこは暗闇。


一人で歩んでいくには暗すぎる闇だ。


「お願い、遥輝。私のために会わないって言ってるんなら、それは間違ってるよ。お母さんにそう吹き込まれたんでしょ?お母さんは私の気持ちを何も分かってない。そんな人の話なんて真に受けないでよ」


合わない視線を無理やり合わせて見つめ続けていると、ようやく近くの椅子に腰を下ろしてくれた。


「…絢のために身を引けって言われた。絢のために絢との関係を切ってくれって」


「…やっぱり」


やっぱりお母さんのせいだ。


お母さんが余計なこと言うから。
< 194 / 353 >

この作品をシェア

pagetop