ひと夏のキセキ
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遥輝が帰った気配がしたのは、それから1時間も後のことだった。
背を向けてシルエットすら目に入らないようにしていたけれど、うなだれて椅子に座り続ける姿は容易に想像できた。
「自分で決めたくせにバカみたい…」
泣き続けたせいか、頭がガンガン痛む。
喉もカラカラだ。
気分転換に院内散歩でもしようかな…。
カーテンを開けると、花瓶や本を置いている棚に見覚えのない箱が置いてあるのが目に止まった。
昨夜の会話が一気に蘇る。
倒れる直前、遥輝は私にプレゼントだと言っていた。
もしかして、それ…?
「…遥輝のばか……」
こんなもの、置いていかないでよ…。
「忘れたいのに、忘れられないよ…っ」
プレゼントの箱を開けると、中はロケットペンダントだった。
「…っ!!」
初めてデートした日に撮ったプリクラが埋め込まれている。
ペンダントの裏には
“I will always be by your side.”
“Please keep holding my hands.”
の刻印が。