ひと夏のキセキ
『違うから。俺はただ絢のことが心配で―』


「心配で別れた?じゃあ今の絢は?お前にフラれて大号泣して、泣き腫らした顔して、無理して自分の気持ち押し込めて、納得したくなくてもしようとして苦しんでる絢は心配じゃないんだな?結局エゴじゃねーか!お前は、一方的な気持ち押し付けて、絢のことは無視してんだよ!!それのなにが心配で、だ!!ふざけんじゃねぇ!!この自己中が野郎が!!」


なんで…


なんで葵はここまで怒ってくれるんだろう。


私は1度諦めたのに。


もう遥輝とは終わりなんだ、遥輝は私の気持ちを理解してくれないんだ、って。


そう諦めたのに。


葵は自分のことのように怒ってくれる。


「そもそも、倒れたのが遥輝のせいって何だよ!絢の母親を悪く言いたきゃないけど、そんな理不尽な言いがかり、無視しろよ!!お前は絢にとってたった一人の大切な存在だろ!?それが何さ!お前のせいで倒れたってイチャモンつけられて、あっさり引き下がんの!?お前の愛情はそんなもんかよ!!」


『…るせぇんだよ…』


遥輝の声が震えているのがわかった。


『うるせぇんだよ…。んなの俺が1番わかってる!分かってるけど…』
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