ひと夏のキセキ
嘘偽りない本心だ。


「あたしは、あんたたち二人がこんなふうに終わっていいわけないと思ってる」


…そう…だよね…。


「アイツともう一度ちゃんと話しなよ。そんで、アイツのこと救ってやってよ。絢にしかできないことだから」


「うん……。連絡…してみようかな」


でも、なんて連絡すればいいだろう。


“自分の気持ちを素直に伝えりゃいーんだよ。遥輝はそういう子がタイプだと思う”


出会って間もない頃言われた言葉が蘇る。


素直な気持ち…か…。


【会いたい】


たったの4文字。


だけど、とても重たくて、送信するのが怖くて、勇気がいる。


無視されたらどうしよう。


会いたくないって言われたらどうしよう。


もう連絡してこないでって言われたらどうしよう。


これ以上傷つきたくないよ…。
< 214 / 353 >

この作品をシェア

pagetop