ひと夏のキセキ
「急に何だよ…」


パッと遥輝の温もりが消える。


「やだ、行かないで」


この温もりをもう失いたくない。


ずっと一緒にいたい。


「…寂しい思いさせてごめんな」


「…ほんとだよ。もう…っ」


好き。


離れたくない。


ずっとそばにいて。


「こんなに好きなのに、離れたくないのに…」


どうして別れなきゃいけないの…?


やっぱり変だよ。


でも…。


……でも。


私は死んじゃう。


それは変えようのない運命。


遥輝の心を守るためには、身を引くほうがいいんだろうな。


なぁんて。


そんな綺麗事は言えない。


だって好きだから。


どうしようもないくらい愛してるから。


綺麗事だけでは動けないくらい、複雑な感情が入り混じっているから。
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