ひと夏のキセキ
えぇいっ、もう送っちゃえっ。


勢いに任せて送信したメッセージに、数分後既読がついた。


「わっ、既読ついた!どうしようどうしよう」


―パシャッ!


突然シャッターを切られ、目が点になる。


「かわい〜。既読がついて焦る陽菜」


葵は撮った写真を私に見せてニヤニヤしている。


画面の中の私は、自分が知らない自分だ。


こんな嬉しそうにできるんだ。


もうすぐ死ぬかもしれないのに、それを忘れて楽しそうにしている。


「これ、遥輝に送ろうかな〜?」


「えっ!やめてよ!絶対ダメ!」


「怒ってる絢も可愛い…っと」


また1枚パシャリと写真が増えていく。


「ちょっと葵ぃ…」


「あ、スマホ鳴ったよ」


「えっ嘘!?」


「うっそ〜。遥輝のこと大好きじゃん」


「もうっ」


慌ててスマホ確認した私がバカみたいじゃんっ。


あまりにも恥ずかしくって布団に潜り込む。
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