ひと夏のキセキ
「俺は、絢のお母さんの気持ちが痛いほど分かるけどな」
「…分からないでほしかった」
だから別れ話を持ちかけて、勝手に決めちゃうんでしょ。
お母さんと同じだ。
「だって、失いたくねぇんだから。できる限り一緒に生きたいから」
「できる限りって何?病室に閉じ込められたままでも、何もできなくても、寝たきりでも、それでも一緒にいることに価値があるの?」
「そうだよ。桜木絢っていうその存在に尊い価値があんの」
…なに…それ…。
尊い価値…。
遥輝の口からそんな言葉が出てくるとは思わなかった。
「そんなふうに言ってくれるのは嬉しいけど……」
そう。
すごく嬉しい。
遥輝がそこまで私を愛してくれてるんだって。
でも、私はそんな愛がほしいんじゃない。
「…分からないでほしかった」
だから別れ話を持ちかけて、勝手に決めちゃうんでしょ。
お母さんと同じだ。
「だって、失いたくねぇんだから。できる限り一緒に生きたいから」
「できる限りって何?病室に閉じ込められたままでも、何もできなくても、寝たきりでも、それでも一緒にいることに価値があるの?」
「そうだよ。桜木絢っていうその存在に尊い価値があんの」
…なに…それ…。
尊い価値…。
遥輝の口からそんな言葉が出てくるとは思わなかった。
「そんなふうに言ってくれるのは嬉しいけど……」
そう。
すごく嬉しい。
遥輝がそこまで私を愛してくれてるんだって。
でも、私はそんな愛がほしいんじゃない。