ひと夏のキセキ
「ほんっと、素直で可愛いな。そりゃ遥輝も惚れるわけだ」


追い打ちのように葵の声が聞こえてくるけど、もう無視だ。


反応したらボロが出てしまってまたからかわれることになる。


自分でも不思議なんだ。


こんなに遥輝のことが気になっていることが。


もうすぐ死ぬかもしれないのに、そのことを忘れるくらい彼に夢中なんだ。


でも、彼を好きになってはいけない。


あと数ヶ月の私が好きになったって迷惑なだけ。


そう頭では分かっているけど…。


ドキドキしながら返信を待っている自分がいる。


たった一度会っただけなのに、どうしてこんなにも惹かれるのか。


不思議だなぁ…。


―ピコン


メッセージが届いた音1つで胸がときめくんだ。
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