ひと夏のキセキ
検査
遥輝とのやり取りは本当に楽しくて、白黒だった毎日に色がついたような明るい気持ちになれる。
そんな遥輝と出会って早くも1週間が経とうとしている。
人生で1番短い1週間だった。
「絢ちゃん、最近表情明るいね。いいことあった?」
担当の看護師である堂島真由(どうじままゆ)さん。
人見知りが激しい子供だった時から仲良くしてくれている方で、今まで何度もお世話になってきた。
「生まれて初めて友だちと呼べる友だちができたんです」
「あら、よかったじゃない。じゃあ検査も頑張ろっか」
「検査?」
「明日、一通り検査するからね。しんどいけど頑張ろうね」
機能が弱ってないか身体中を調べる検査は、長い時間がかかるし精神的にもつらい。
どうせ治らないのに検査してなんの意味があるんだろう。
どうして痛い思いしてまで検査しなきゃいけないんだろう。
そう思うとすべてが嫌になる。