ひと夏のキセキ
真生の言葉が上手く入ってこない。


遥輝がいろんな子で遊んでいる。


私とは会わずに他の女の子たちを選んだということ。


私じゃ遥輝を傷つけるだけだけど、他の子たちはそんなことないから。


だから遥輝はそっちを選んだ。


「…病気だもん。しかたないよね」


私が生きてるうちに私を忘れてくれたら、死んでもきっと傷つかない。


遥輝が自分を守るためにそうしたのなら、私は従うしかないんだと思う。


これ以上遥輝を追い詰められないから。


これ以上傷つけたくないから。


「絢ちゃん……」


「話してくれてありがとう。もう一つだけお願い聞いてくれる?」


私なんて、恋愛しちゃいけなかった。


私みたいな人間が、普通の人を愛しちゃいけなかった。


全部全部分かってた。


分かってたんだよ…。


分かってたのに自分の気持ちを押し通そうとしたバチが当たったんだ。
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