ひと夏のキセキ
「…なに…何言ってんのよ…。私が元気に産んであげられたら…っ」


泣いてる…?


声が震えている。


また、お母さんを泣かせてしまった。


もう傷つけたくないのに。


私は…どうして周りの人を傷つけてしまうんだろう。


私が病気だから、お母さんが、遥輝が、苦しい思いをする。


私がもっと元気だったら…。


「ごめんね…ごめんね…絢……」


「ごめんなさい…」


どうして、私は生まれてきたんだろう。


どうして、こんな身体なんだろう。


どうして、傷つけてしまうんだろう。


私は、ここにいない方がよかったのかな。
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