ひと夏のキセキ
「…遥輝に会いたくないのはなぜ?」


「え……?」


なんでって…。


そんなの…。


ほんとは…


……会いたいよ。


会いたくて会いたくてたまらないよ。


でも、会っちゃいけないもん。


遥輝を傷つけてしまうから。


遥輝のことを考えると、私は身を引くしかない。


だから会えない。


ホントはもっと早くこうすべきだった。


私が自分勝手に遥輝と付き合ってしまったばかりに…。


「…本当に遥輝のことを好きでいてくれてるんだね。本当に本当にありがとう」


…っ。


親子揃ってほんと…ズルいなぁ…。


ありがとう、なんて言わないでよ…。


ツラくなっちゃうじゃん…っ。


感謝されることなんて何もしてないのに。


傷つけてばかりなのに。


「……泣いちゃう前に、早く行こう」


ブランケットの端で目頭を押さえている間に、扉が開いて星空の中に飲み込まれる。
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