ひと夏のキセキ
綺麗。


これがプラネタリウムなんだ。


「…そっちから誘っといて遅刻―」


遥輝はど真ん中の席に座っていた。


振り向きざまに目が合うと、凍ったように動かなくなってしまった。


「……ひ…久しぶり…」


脳内で練習していたよりも声が出ず、震えてしまった。


私の声、届いてるかな…。


星の解説音声とBGMが流れていて、私の声は聞こえてないのかもしれない。


でもそれでいい。


今さら何もかけられる言葉はない。


「なんで、絢がいんの」


…神田先生、伝えてなかったんだ。


私が来ると知らされたら、遥輝は来ないと思ったのかな。


「しかも……」


視線が車椅子に釘付けになる。
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