ひと夏のキセキ
びっくりするよね…。


つい数週間前まで普通に歩いてたのに、こんなに衰弱しちゃったんだもん。


今や顔色の悪い痩せ細った病人の見た目でしかない私を、遥輝の目にはどんなふうに映ってるのかな。


「…お前、何がしてぇんだよ。医者のクセに体調悪い絢を連れ回すって、何考えてんの?だからてめぇを医者だって認めたくねぇんだよ」


遥輝が立ち上がってこちらに近づいてくる。


神田先生が私の前に立ち、遥輝との間に入る形となった。


「…せっかくだし…3人でプラネタリウムを見よう」


「…俺はお前が話があるっつーから来ただけだ。お前なんかと見たくない」


元気がなくて意気消沈してるのかなって思っていたけど、意外とそんなことはないみたいだ。


少なくとも、先生と口論する気力はある。


よかった…。


ずっと塞ぎ込んでいるわけじゃなかったんだ。
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