ひと夏のキセキ
第1章
友だち
「今日は暑そうだなぁ…」
ベッドから降り窓辺に立つと、あまりにも眩い光に襲われクラッとする。
「…窓越しの日光すらダメなんだ」
シャッと水色のカーテンを閉めると、病室は薄暗く様変わりする。
もう5年は見かけない“お隣さん”
3階の一番奥のこの病室は相部屋。
だけど長らく個室のようなものだ。
最後のお隣さんは、たったの2日で退院していったな…。
古い記憶を呼び起こし、思い出そうとするけど顔も名前も出てこない。
記憶力もなくなってきたなぁ…。
些細な刺激が私の寿命を奪っていく。
記憶力、体力、筋力。
すべてが普通の女の子とは違う。
原因も病名も分からないけど、大きな音や強い光、ストレスなどが刺激となって寿命が削られていく。
よくわからないけど、そんな病気だそうだ。
何が刺激になるかも分からないから、過保護なお母さんはずっと私を入院させている。