ひと夏のキセキ
初めて会ったとき、遥輝は私を茜さんだと勘違いした。


そのおかげで今があるんだよね。


「顔はそんなに似てないけど、雰囲気が似てる。上手く言えねぇけど」


「そうなんだ。じゃあ、もし私が茜さんに似てなかったら、出逢いすらできなかったんだね」


きっと遥輝にとって茜さんは大切な存在。


そんな茜さんに似ていたからこそ、こうして遥輝と出会えた。


「運命だね」


そう微笑みかけると、遥輝はなぜか目線を反らしてこっちを見てくれなかった。


ジーっと遥輝を覗き込む。


遥輝はそんな私の頭をぽんっと叩き言った。


「あんまりこっち見んなよ。そんな真っ直ぐな目で見られたら反応に困る」


その頬は少し赤い。


もしかして…照れてる…?


私が運命って言ったから?


「遥輝も可愛いね」


そうからかってみると、遥輝はギロッと私を睨んで立ち上がる。
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