ひと夏のキセキ
再び
“学会で絢ちゃんの症例を話したら、アメリカに同じ症例の患者さんがいることが分かったんだ”
“向こうでなら最先端の技術で治療ができるかもしれない”
“ただ、渡航するにはあまりにもリスクが大きいと考えてる”
“絢ちゃんはどうしたい?”
神田先生から話を聞いた瞬間から答えは決まっていた。
治療したい。
私は…もっと長く生きたい。
死にたくない。
遥輝と幸せな時間を築きたい…。
“でも、アメリカに渡るってことは、飛行機に乗るってことだからね。身体に負担がかかるのは間違いないよ”
それでも、治る可能性があるのなら、私はそこに賭けたい。
“生きることを諦めんなよ”
遥輝に言われた言葉が忘れられない。