ひと夏のキセキ
葵は、遥輝は女遊びが激しいって言っていた。


私もその中の1人のかなぁ…。


もしそうなら、少しショックだな…。


―ピコンっ


遥輝のスマホが鳴った。


「あー、悪い。来たばっかりだけど帰るわ」


スマホを見るなりそう言って立ち去ろうとする。


もしかして彼女…?


「まっ、待って!」


知りたい。


遥輝のことをもっともっと。


「遥輝、彼女いるの…?」


しばらくの沈黙。


遥輝は何も言わずに固まっている。


「…いるの…?」


「あー、彼女からの呼び出しだと思ったんだ?」 


遥輝はニヤッと口角を上げた。


この余裕そうな仕草に心惹かれる自分がいる。


「彼女はいない。安心した?」


「うん!よかったよかった」
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