ひと夏のキセキ
思ったことをそのまま口にすると、遥輝はふわっと優しい顔をして笑ってくれた。


トクン…っ


鼓動が加速する。


遥輝の言動ひとつひとつに胸がキュンキュンするんだ。


「明日検査頑張れよ」


「…言わないでよ…。忘れてたのに…」


遥輝といる時間は本当に楽しくて、嫌なことは忘れられる。


でも明日には検査という現実が待っている。


「検査嫌なの?」


「うん…」


ほんとにやだなぁ…。


明日が来なきゃいいのに…。


「じゃあ明日も来てやっから。それなら頑張れる?」


「ほんと?」


「あぁ。その代わりちゃんと頑張れよ」


「うん!」


遥輝に会えるならいくらでも頑張れる。


ぽんぽんっ


今日3回目の頭ぽんぼん。


すごく元気を貰える魔法のおまじないだ。


「なんか欲しいものある?明日買ってくる」
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