ひと夏のキセキ
約束事
半日以上かけて検査が終わった。
いつもならヘトヘトになっていただろうけど、今日は違う。
自分でも驚くくらい、遥輝に会えることが力の源になっているんだ。
“俺がお前の青春、作ってやる”
遥輝の真っ直ぐで情熱的な言葉が脳裏に何度も繰り返し流れる。
私の青春。
病気を忘れて、やりたいことなら数え切れないほどある。
本当に叶えてくれるんだろうか。
出逢って間もない私なんかのために。
「おぉー、遥輝。来てくれたんだ」
葵の明るい声が聞こえてきたから入口を見ると、遥輝が紙袋を片手に入ってくるところだった。
「お前の見舞いじゃねぇ。さっさと治せ」
「冷たすぎでしょ。これでも病人なんだけど」
「知るか」