ひと夏のキセキ
「遥輝は?一緒に来てくれないの?」


葵が不満なんじゃないけど、遥輝とも一緒に行きたい。


「学校嫌いなんだよ」


遥輝は心底うんざりした様子で顔をしかめる。


学校が嫌い…か…。


私にとっては憧れの場所なんだけどな…。   


友だちを作って、ワイワイ皆でお弁当を食べたり、プリクラを撮ったり。


そういう女子高生らしいことがしたいよ…。


「ごめんって。んな顔すんなよ。一緒に行っててやるから」


「ホント!?」


「……あぁ」


「やった!絶対だよ。約束!」


小指を立てて突き出すと、遥輝は嫌嫌ながらも小指を絡めてくれた。


「ふふっ。楽しみだなぁ」


まずは外出許可を貰わなきゃだね。


お父さんとお母さんにも頼まなきゃ。


「あ…でも、学校に行っても私勉強分かんない…」


浮足立っていた気持ちが急下降する。
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