ひと夏のキセキ
「絢ってホント素直だよなー。羨ましいくらい」


「な。考えてることが全部顔に出てる」


そうなの…?


ダメじゃん…。


私が遥輝にドキドキしてることも全部バレてるの…?


どうしよう…。


「でも遥輝からしたら、そこが可愛いんだろ?」


葵がまた余計なことを…。


完全におもしろがってるよね。


「そうだな」


遥輝まで…。


「もうっ、からかうのはやめてよねっ」


いちいち赤くなりたくないのに、頬が熱くなっていくのが分かる。


それが恥ずかしくて、カーテンをシャッと閉めて二人の視線を遮断する。


遥輝はどんな気持ちで話してるのかな。


“そうだな”は冗談?その場のノリ?


「照れてんの?」


「照れてないっ」


遥輝は私をおもしろがってるんだ。


だからからかうんだ。


私は本気なのにな…。


遥輝の一挙一動に本気でドキドキしてるのに。


一方的な弄ばれるなんて嫌だ。
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