ひと夏のキセキ
気がつけば遥輝の手を握りしめていた。


驚いたような視線がぶつかる。


「…何?慰めてくれてんの?」


「ううん、違うよ。慰めなんかじゃない。ただこうしたくなっただけ」


慰めや同情なんていらない。


誰も同情してくれ、慰めてくれ、なんて言っていない。


それなのに周りの大人は私を“可哀想な子”と認識して慰めてくれようとする。


そんな人生だったからこそ、私は誰かに同情なんてしない。


“遥輝そのもの”と向き合いたいだけだ。


「やっぱりお前の隣が1番居心地いい」


ふわっと笑ってくれた。


この笑顔が好き。


柔らかくて、優しくて、すべてを包み込んでくれるような笑顔。


「わっ!!はやとくんだーー!!
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