ひと夏のキセキ
そこへ、3歳くらいの女の子がラウンジに走りながら入ってきた。


まだ言葉はたどたどしくて、歩き方もおぼつかない。


「はやとくーーんっ」


トコトコトコっと走って、ラウンジ内にいる5歳くらいの男の子の元へ行こうとする女の子。


手には絵本を持っていて、きっとはやとくんに読んでもらいたいんだろうなぁ。


可愛いなぁ…。


「お前、あの子にそっくりだな」


え?


それは…どっちの意味なんだろう。


可愛いって言われてるのか、それとも…。


「3歳児と変わらないって言いたいの?」


そう尋ねると、遥輝は真顔で大きく頷いた。


「もうっ!バカにしないでよねっ」


ホント失礼しちゃう。


ペチンっと遥輝の肩を叩き、ソファから立ち上がる。
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