ひと夏のキセキ
「……今日はもう帰る」


「…遥輝……」


なんて声をかけたらいいのか分からなかった。


消せない過去と戦う遥輝を、支えてあげることはできなかった。


引き止めることもできず、見送ることもできず、ただただその場に立ち尽くすしかできなかった。


無力だ。


私は無力だ…。


遥輝に何もしてあげられない。


遥輝はいつも私を笑顔にしてくれるのに。


そのお返しをできない自分は、本当に無力だ。

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