ひと夏のキセキ
「丸一日は許可してあげられないけど、数時間だけなら大丈夫ってことになったよ」


「え…?いいの…?」


学校に行っていいんだ。


いつぶりだろう。


ずっとダメって言われ続けてきた。


だから、今回もダメだろうと思っていた。


「ホントにいいの?明日から行ってもいい??」


「うん、いいよ。その代わり、少しでも体調が悪くなったら保健室に行くこと、走り回ったりはしゃぎすぎたりしないこと、門限は守ること、は約束してね」


「うん!やったー!先生にお礼言わなきゃ!」


久しぶりに葵に会えるし、学校に行きたいという夢も叶うんだ。


モヤがかかっていた心が嘘みたいにパァっと晴れていく。


【葵!私明日から学校に行けるよ!!】


そうメッセージを送ると、一瞬で既読がついた。


【よかったじゃん!明日の朝迎えに行くから一緒に行こ!】


【うん!ありがとう!楽しみにしてるね!】


まるで同じ空間で話しているようなテンポ感で胸が踊る。


早く葵に会いたい。


あわよくば遥輝にも…。


会いたいな…。
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